モヒカンのリスク
1,000円カットに通っています。
デビューは町の床屋から自己ベストは表参道の美容院まで経験したのですが、よく男性陣が経る道筋かとは思いますが「ただ髪の毛が短くなれば良い」の初志貫徹が本筋であるという結論が出まして、そういうことにしています。
特に、回り道やこだわったサービスなどせず、最短ルートで散髪を完了させてくれる点を評価させて頂いていますが、そこには様々なリスクがあると感じております。
先日も行きました。
入店、着席、散髪が開始された頃、右の席にややオタク寄りと思しき青年がピットインしました。
私を担当してくれていたのはいわゆる店長(ぽい人)であったのですが、その青年の担当についたのは恐らく店長のお母さん(推定70~75歳)でした。
職人世界の床屋であるため、年齢は上であるほど確実な技術が見込めるという点で、まったくそこにリスクはないと思います。
が、時勢感というか言語感覚というか、このあたりをお母さん世代の職人とがっちりスクラムを組むことはなかなか難しいことだと気づかされました。
着席した青年に対しお母さんの質問から始まります。
(母)「どんな塩梅にしますか?」
(青)「えーっと、ちょっと横部分が気になるので、短めにしてください。あとは全体的に少し短くしてもらって、あと髪が重いので少しすいてください…。」
(母)「てことはモヒカンでいいね?」
<ここは早かった>
(青)「いえっ違いますっ…!モヒカンではなくて、全体を短めにしてもらえれば良くて…」
(母・青)後続の会話へ続く
危なかった。
ミスコミュニケーションが発生したことにより、普段はチェック柄の長袖を愛しコミケの開催を待ちわびる一介の青年が、突如モヒカンという過激なファッションを身にまとうところだった。
私がかいた汗は、高速で走るトラックの目の前にあわや少女が飛び出してしまうのを見るがごとくヒヤリとしたものだった。
どんな塩梅かと尋ねたファーストクエスチョンからここまでかというくらい近道をして最短距離でモヒカンへと帰結させたお母さん。
なかなか切れ味鋭いナイフを持っているようで、過去何人もの屍を生み出していた可能性がある。
というように、1,000円であろうとなかろうと、職人と同一のイメージを作りがたい散髪という行為においては、一にも二にもコミュニケーションが大切ということだろう。
そして、万が一誤発注があってモヒカンになったとしても、ほ乳類の良さとして一ヶ月もあればソフトモヒカンまでカバーできるでしょうし。