甲子園

お盆時期、久方ぶりに開催される家族親戚の集い。狭い居間で肩を寄せ合いながら団らんとなる。産まれたての赤子もいるし、各自の近況伺いなどで話題に事欠くことはない。されど、場の雰囲気へのプラスアルファとしてテレビをつけることとなる。

 

この状況でベストなのが、甲子園だ。

夏の風物詩であり、テレビ越しに甲子園のグラウンドからでる熱気と、球児の流す青春の汗が一瞬で伝播してくる。

 

時代は移ろえど、必ずこの時期には、純朴に頂点を目指し白球を追いかけるほぼ坊主頭の若者たちが全国各地に存在している。そして、その姿をNHKが中継している。その安心感と躍動感は、年に一度集まる家族の絆を、より一層強固なものに昇華させる雰囲気を持ち合わせている。

 

観るともなしに、テレビからアルプス席の歓声が小さなボリュームで聞こえる程度でも良い。高校野球マニアのおじさんでない限りは、中継される一球一球を目で追う必要はない。

 

そこに、高校球児が炎天下の中、青春を謳歌してさえすれば良いのだ。お盆を、いつものお盆にしてくれるだけで良いのだ。

 

もし自分がバッターボックスに入ったら、自分のために編曲された応援歌をなるべく聞きたいので、3球目までは見逃すと思われる。最悪三振してまうが。