フルーツの王様
中野駅の男子トイレ、手洗い場の鏡の前に、丸かじりされ芯だけになったリンゴが落ちていた。
死後の腐敗はまだ始まっていないと見てとれたため、恐らく食後3時間以内と思われる。
中野にターザンみたいなやつが少なくとも一人以上いることがわかった。
この加工食品あふれる現代で生のリンゴを食すことを決定したターザン。
買ったのか、拾ったのか、むしりとったのか。リンゴ畑は恐らく近くにないはずなので、つまり拾った選択肢も限りなく0として、買ったのだろう。
ディズニー映画みたいに芯だけのリンゴだった。
あそこまで芯を露わにしたということは、かけた時間はそれなりだったのではないか。
トイレで長時間、日中帯にリンゴにむしゃぶりついてても通報される気がするので(何の罪にあたるかのか)、たぶん改札に入る前から食べ始めている。
かじりついたリンゴを左手に、スイカを右手に、入場したと思われる。
フルーツ大好きだな!
いや、リンゴかじるくらいの人だから切符か。